
遠くに見える水平線が、この星が丸いことを教えてくれる。
眼下に広がる荒涼とした大地。
その向こうにそびえ立つ城壁。
むさしさんは、
クヴァッチより更に西、この国の最西端に居た。
霞がかって見えるあの城壁は、アンヴィルという街らしい。
とりあえず、あの街で荷物を軽くするか。
むさしさんはそう呟くと、街に向けて歩き始めた。
先のゲート封じで、むさしさんの道具袋は満杯だった。
数時間後、荷物を軽くしたむさしさんは、
街の近くの高台に居た。

海に面した街だけあって、眺めはいいな。
交易でもあるのか、街自体も洗練されていたように思う。
将来、ここに家を構えてもいいかもしれない・・。
そう考えながら、
むさしさんはこれからどうするかを決める為、辺りを見回した。

街の隣に、遺跡があった。
かつて、まだこの街が栄える前に作られたものだろうか。
とりあえず行ってみよう。金目のものもあるかもしれない。
むさしさんは豹特有の俊敏な動きで
丘の上から遺跡の2階に飛び乗った。

さて、下に降りるか・・・
むさしさん、ばっちり命狙われているよ!しかし、そこは歴戦の勇士むさしさん。
盗賊と狼ごときにひけをとるわけもない。
さくっと片をつけると、
遺跡へ突入したのであった。

遺跡の中は相変わらず薄暗く、
壁に掛けられた松明は煌々と辺りを照らしていたが、
隅々までその光を届けることはない。
自然と警戒してしまうあたりは、以前より戦いなれてきたからでだろうか?

それでも金属のブーツを履いている今は、足音が奥まで響くようだ。
次々と奥の角から敵がやってくる。
幸い、まだ盗賊に成り立てなのか、大した強さではなかったので、
返り討ちにすることができたのだが。
しかしこの後、むさしさんはこの遺跡の本当の恐ろしさを知ることになる。
変化に気づいたのは、遺跡にかかる橋を見つけたときだった。

明らかにいままでと作りが違う。罠か?
用心の為、その橋を全力で駆け抜けると、
ボロボロと足下が崩れていった。

ふぅ・・やはり罠か。
幸い、これくらいの距離なら向こうまでジャンプすれば届く。
下に落ちた場合は、また別のルートで帰ってこなければならなかっただろう。
むさしさんは崩れ落ちた橋(であった部分)を眺めていた。
すると・・・
・・・・グッッ!
心ならずも、自分の口から低い声が出た。背中に鋭い痛みが走った。
後ろを振り向くと、そこには予想通り盗賊が居た。
くそ、油断した。
すぐさま剣を構えると、返しの一刀で盗賊を斬りつけた。
数回の金属の悲鳴が鳴り響いた後、辺りに静寂が戻った。
ふぅ・・、落とし橋に気を取られていたな・・。
しかし、後ろから斬りつけてくるとは、不愉快な奴だ。
とりあえず身ぐるみ剥ぐか。

ふっ、
ヒゲダンスかよ。間抜けな格好だ。
しかし、この男の身ぐるみを剥いでいる間、むさしさんは
軽い目眩がしていた。それが何なのかは分からなかったが、
余計に腹が立ったむさしさんは、
橋の下に落としてやる。
そう思い、男を引きずって落とそうとした。

もう一息・・・

という所で、むさしさんの手が止まった。
・・いや、止めさせられた・・というべきか。
急に、
酷い耳鳴りがむさしさんを襲ったのだ。
・・・・何か変だ・・・
試しに、その男から少し離れてみた。
神がそこにいた。そこに居たのは明らかに、張り付けにあったキリストであった。

参考:黄色いキリスト<1889:ポール・ゴーギャン[フランス]>
ジーザス・クライスト・・・

むさしさんは寒そうに肩をすくめそう呟いて、
それ以上何もせずに、遺跡の奥へひっそりと移動したのだった。
そうか・・ここは神に近い場所なんだ・・・
宮崎の高千穂とかと一緒なんだ、きっと。
むさしさんは内心((;゚Д゚)ガクガクブルブルしながら
表面上はなんとか普通に歩いていた。
そんなとき、奥から出てきた新たな盗賊は、
そんなむさしさんをあざ笑うかのように、
激しい斬撃をたたき込んできた。
こいつ・・強い!
あっというまに瀕死に追い込まれたむさしさん。
やはりここは神に守られた土地だったのか。
そしてそこに足を踏み入れた俺は消えるべき存在なのか。
走馬燈のように、今までのことが頭をよぎった。











もう・・・だめか・・・
その瞬間、一枚の映像が脳裏に焼き付いた。

自分が『神』となった瞬間の映像だった。
あのときは本当に神がかっていた。
そうだ・・目の前のこんな奴に負けるはずがなかったんだ!
自分の『強さ』を思い出したむさしさんは、相手を圧倒した。
途中、あのときのようにもう一度神スタイルになろうかと思った

が、
なった瞬間に神から霊にレベルアップするのは目に見えていたので
あえて鎧を着たまま戦って倒した。

しかし、こいつは強かった・・・。
追い剥ぐか。
しかし、こいつの装備は重いな。
よし、今持ってる重くて安いアイテムはこいつに手向けとして置いておくか。
天国まで担いで持って行くがよい。
むさしさんは要らないものをポイ捨てした。その後、更に強い男が1人奥からやってきたが、
からくも撃退し、足下に転がした。
お前は佐藤江梨子か。むさしさんはどうやら、某生理用品のCMのことを言いたいようだった。
しかし・・あれだな。
こいつらの装備、今まで見たことないな・・。
そう、今までの装備より、明らかに一般盗賊の装備のレベルは上がっていた。
実は、むさしさんのレベルが上がるに連れて、
敵の装備、種類も変化していくのだった。
しかし、むさしさんはそんなこと関係ない。
要は強い装備が手に入ったのだ。こんないいことは無かった。
よし、早速着てみるか。

・・・・なんか、
敵より敵らしいじゃないか、俺。盾と相まって、明らかに悪役である。
う〜む・・困った。
しかし、この世界では、時として自分の主義を曲げなければ
それが即、死に繋がることも薄々分かっていた。
仕方ない・・・しばらくこれで我慢するか。
ここに、
悪の化身(のような)むさしが誕生した。
この後、悪の化身は
遺跡の谷底にたき火を見つけ

飛び降りて襲撃を敢行。
悪そうなのが突然降りてきたことにビビるトカゲ女を惨殺。
勇ましい双子の女剣士を見つけ

邪悪なむさしさんの姿に驚きながらも、必死に応戦してくる女剣士達も

あっさりと惨殺。
先ほどのトカゲ女のときは身ぐるみ剥がなかったのに

この二人のときは
わざわざたき火の前に並べて追い剥ぎを行うという非道っぷりを披露。
==== ここから、R指定 ====
==== R指定、ここまで ====後にむさしさんはこの時のことをこう語った。
あれはファンサービスだった。トカゲ女は見たく無かった。こうして、神の住む遺跡は、悪の化身によって蹂躙されたのであった。
そして・・・、
数十分後、張り付けにされた神の居た場所で何かを行い、
満足げにたたずむ、むさしさんが居た。

そこに、張り付けにされたはずの神の亡骸は、無かった。
彼は満足げに一つ頷くと、
遺跡の外へと去っていった。
彼が去った後、崩れた橋の下を見ると
あいつ、蹴落としやがったな!そのころ、遺跡の外には、
夜空を見上げるむさしさんが居た。

金メッキのヘルメットの下の顔は、何を思うのか。
外からでは、うかがい知ることは出来ない・・。
本当に悪に染まってしまったのかむさし!
次回、謎が解き明かされる!!・・かもしれない。